先日(7月29日)にインテルの「Mid-Summer Technology Summit」を覗いてきました。以下、ちょっと目を引いたことについてまとめてみます。
冒頭でSean Maloney上席副社長(写真)がIntel社の全体戦略を解説した。主事業であるパソコン・サーバ向けチップ開発、周辺事業、新事業開発の3つに分かれる。周辺事業は「MID(Mobile Internet Device)とスマート携帯」、「Embedded(組込系)」、「CE(家電)端末」が対象となっている。新規事業は「デジタル・ディバイド」、「WiMAX」、「教育」、「エネルギー・環境」、「サービス」、「健康医療」分野を狙っている。
過去2年ほど、Intel社は健康医療分野への参入をはかっている。今回は初めてFDAの承認を受けた「Health Care Management Suite」および関連機器の紹介を行った。今後は、孤独に悩む老人向けのソーシャル・ネットワーク・サービスなどにも力をいれてゆく。
Intel Capital社(Intel社のベンチャーキャピタル)は、Cleantech分野への投資を追加。今回は、Intel Open Energy Initiativeを設立。CPower社、Powervation社、Convey Computer社、Grid Net社、iControl社などに10Mドルの投資を発表した。
今回のサミットは、9月に開催されるIDF(インテル開発者会議)の予行演習的な意味合いを持つが、興味深い話が多かった。
小池良次(www.ryojikoike.com)
いよいよワシントンの時計が逆に回り始めた。
米WSJ紙(7月6日付け)によれば、大手通信事業者が優越的な地位を不当に利用してビジネスを展開している可能性があるとして、米司法省(Department of Justice)が予備調査を開始した。もちろん、大手通信事業者とはAT&TとVerizon Communicationsのことだ。
端末メーカーとキャリアが結ぶ独占販売契約や携帯ネットワークのサービス規制などについて検討しているという。前者はAT&Tとアップルが結んでいるiPhoneの独占販売契約をさしているし、後者は携帯データサービスを使ったVoIPサービスなどの禁止をさしていると思われる。
ブッシュ共和党政権の8年間、米国の通信業界はAT&TとVerizonによる寡占体制が進んだ。両社は次々と大手電話会社を買収し巨大化した。また、寡占化の過程で長距離電話会社や幹線網事業者が次々の両社の傘下に収まった。ここ数年は地方の携帯電話会社を両社が争って買収している。両社にとって、ブッシュ共和党政権は天国の日々だった。
そして今年、オバマ民主党政権が成立した。大手電話会社にとって冬の時代が訪れたわけだ。
新政権は独占禁止法の厳格な運用を進めるとして、大企業のビジネス慣行に目を光らせ始めている。同じ司法省でも政権が変わり、省のトップが入れ替わると行政の方向はまったく逆に動き始める。時計が左回りに回るように、これから1~2年はすべてのルールが逆転する。
皮肉なことに、オバマ民主党政権を支援してきたグーグルにも、司法省の厳しい目が向けられている。グーグルは、書籍の電子化を狙うブック検索プロジェクトで全米作家協会・全米出版協会と先頃和解を勝ち取った。絶版になった本をどんどんスキャンし、再流通させようという狙いだが、著作権を無視しているとして裁判が続けられていた。グーグルと著作権団体は和解したが、それを司法省や市民団体はグーグルが「電子書籍の独占支配を狙っている」と警戒している。
通信事業者にせよ、グーグルにせよ、米司法省は予備調査を始めた段階で、本格的に独禁法捜査に乗り出すかどうかは決まっていない。とはいえ「調査を始めた」と言う内部情報がWSJのような経済紙に載ること自体、司法省の発する警告と言えるだろう。
ワシントンの時計は、逆回りの速度を速めようとしている。
小池良次(www.ryojikoike.com)